慢性腎不全では、失われた腎臓の機能が回復する見込みはほとんどないため、治療目標のひとつは、慢性腎不全の進行を予防し、少しでも透析療法への移行を遅らせることです。
治療は、薬物療法、食事療法のほかに日常生活での心がけも必要となります。もうひとつの治療目標は合併症の予防です。慢性腎不全の進行に伴ってさまざまな合併症が現れる可能性があります。
例えば、慢性腎不全によって高血圧が持続するような場合は、心臓病や脳卒中など生命にかかわる合併症の原因となります。また、不適切な食事療法などを行うと骨がもろくなるなどの合併症が現れます。慢性腎不全の治療では、このような合併症が現れないようにすることも大切です。
腎不全を治す特効薬はありません。降圧薬、利尿薬、リン吸着薬、カリウム吸着薬、エリスロポエチン製剤、ステロイド・免疫抑制剤、漢方薬などを使って、慢性腎不全の進行を遅らせたり、合併症を予防したりします。